figure9モードロック

Description

figure 9®は、当社独自のファイバーレーザー設計1で、採用した共振器方式の特徴的な形状に由来する名称です。以下、この技術の基本原理と独自の利点について説明します。

 

モードロック

モードロックは、フェムト秒レーザーパルスの発生に必要な条件と考えられます。そのためには、不要なバックグラウンドや雑音を出来るだけ小さくし、共振器モードが確実に安定した超短パルスになるような動作条件を持つレーザー共振器を設計する必要があります。

フェムト秒ファイバーレーザーでは、高い光強度で吸収率が低下する、いわゆる可飽和吸収体の仕様が一般的でした。しかし、それらの材料は経時劣化の他、緩和速度が遅いため、過大なノイズフロアを発生させる可能性があり2、光周波数コムなどの精密な用途には不向きでした。そのため、私達はより優れた代替手段を模索し、吸収以外の効果を利用した高速モードロック方式を検討しました。 

 

ファイバーループミラー

直感的に理解するために、ファイバカプラが入力ポートの1つに到達した光パルスを二等分する状況を想定します(図1a)。出力ポートをファイバーループで結合すると、2つの部分は反対方向に伝搬し、スプリッタで再び干渉します(図1b)。最も単純なケースでは、元のパルスが反射して元の場所に戻って来ますが、これはファイバーループが鏡のように機能するためです(図1c)。

ループミラーの反射率は、2つの逆伝搬パルスが干渉する前に、何らかの理由で相対的に位相がずれた場合に変化します。位相シフトは干渉条件に影響を与え、元の入力パルスのある割合が反射されずに第2入力ポートに透過されるようになります(図1d)。ここで、透過と反射の比率が元の入力パルスの強度に依存するように設計出来れば、ファイバーループは高速の人工可飽和吸収体として機能する可能性があります。

figure9 Technology Primer Figure FiberLoopMirror FigureOfEight

                                                                 

図1: ファイバーループミラー          図2: Figure-8レーザー

 

非線形増幅ループミラー

図2の上部分に非線形増幅ループミラー(NALM)の模式図を示します。これは、増幅用添付ファイバー部分と非添付ファイバー部分の非対称配置 に依存します。NALMの原理は、最初に増幅される(そして長いファイバー無いを伝搬する)パルスと、その逆を進むパルスの間の位相シフトに依存しています。前者は、往復の間に強度依存の非線形性が強まります。非線形位相差、つまり入力パルス強度が増加すると、可飽和吸収体のようにNALMの透過率が増加します。図2に示すように、モードロックレーザーの動作は、いわゆるFigure-8レーザーで実現することができます。しかし、この構造の大きな欠点は、偏波保持ファイバーにおいてモードロック動作の自己開始が困難なことです。

 

figure 9®

figure 9®は、NALMの概念を元に、その実用性と機能的な汎用性をさらに高めるために開発されました。このアプローチは、NALMを送信モードではなく反射モードで動作させることに依存しており、偏波保持ファイバーコンポーネントの実装が可能になります3

 

2021 11 Figure9 Technology Primer Figure Figure9

                                                        図3: figure 9®

 

図3に示すように、共振器の一部を直線状にし、NALM部分に非反射型位相器を設置することで、対向伝搬のパルスペアの位相にバイアスをかけます。これにより、低強度でのモードロック動作の自己開始と、良好な動作条件での直線部分への高効率な反射によって位相バイアスの量が慎重に最適化されます。

 

その独自の特徴によって、figure 9®は前例の無い性能と機能的な多能性を兼ね備えた当社のフェムト秒ファイバーレーザーのポートフォリオに欠かせない存在となっています。

 

  • 堅牢
    偏波保持ファイバーの環境影響を受けにくい設計で、モードロック動作の堅牢なセルフスタートが可能です。
  • 多用途
    繰り返し周波数の調整、同期化、キャリアエンベロープ位相(CEP)安定化のための共振器アクチュエータを簡単に統合することができます。
  • 低雑音
    極めて低い固有位相雑音は、可飽和吸収体によってモードロックされたファイバーレーザーの性能を遥かに上回ることを示しています。
  • 高いコスト効果
    複雑さの軽減、小型化、標準的な通信用部品の使用により、優れたコストパフォーマンスと低所有コストを実現しています。

figure 9®フェムト秒ファイバーレーザーは当社の最先端の光周波数コムやテラヘルツ測定器に搭載されています。

 

[1] Patents: EP 2637265 A1, CN 103311780 A, US 8873601 B2

[2] Excess carrier-envelope phase noise generation in saturable absorbers N. Raabe et. al., Optics Lett. (2017), Vol. 42, No. 6, 1068

[3] All Polarization-maintaining fiber laser architecture for robust femtosecond pulse generation W. Hänsel et. al., Appl. Phys. B (2017) 123:41

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